November 02, 2012

11/02/2012

生まれて初めてアメリカという国に来て
大学のオリエンテーションが終わり
一緒に来てくれていた母が
じゃあ行くね、と言って帰ってしまった日
知り合いもいない友達もいない
言葉も話せない土地勘もない
そんな異国で私はほんとうに一人になった
それまでも心のどこかで
いつも一人だったような気がしていたけれど
あの時一人になって初めて
私は今までほんとうに一人になったことはなかったんだとわかった
閑散とした大学の練習室でブラームスを弾いていたら
ボロボロボロボロ泣けてきて
初めて素直に"寂しい"と思った
思えばそれが私のアメリカ生活の始まりの
強烈な印象

外国にいくと圧倒的に孤独と言われるけれど

例え外国でなくてもどんな環境であっても
こういう経験は誰しもあるものではないかなと思う

でも嬉しくも悲しくも

人間は環境にこそ慣れなくとも
感情には慣れていく生き物で
孤独とも仲良くなることができるし
もう一人でもあの時のような寂しさを感じることはない
でも今日はそうして独りで生きることを頑張り始めた
あの最初の日によく似た
一つの終わりであり旅立ちの日

いつだって終わりはやってくるし

終わりがあるから美しいし
終わりがあるから耐えられるものもある
いつか必ず終わるとわかっているから
毎日を生きていられる

ほんとうに感謝していたら

感謝しています、とは
なかなか言葉にする気持ちになれないけれど
今日だけは
あの日からずっと支えてくれた人たちに
ありがとうと言葉で思う

またそれぞれがそれぞれに

いるべき場所を温め合って
離れていてもいつも大切にし合えるようにと