October 14, 2010

大抵の音楽家は
音楽が大好きで
またはその楽器が大好きで
弾いている人ばかりだ
私が出会う音楽仲間もそう
ヴァイオリンが好きで好きで
小さい時からずっと
ヴァイオリニストになりたかったという人が
ほとんどな気がする

話せばいつも驚かれるのだけれど
私はヴァイオリンが好きで
弾いているのではない
楽器同様、クラシック音楽も
全然好きではない
クラシック音楽は
一切聴かない

じゃあどうして弾いてるの? 
と大抵の人は尋ねてくる

けれど
現在の私の師であるShmuel Ashkenasiは
そう聞かなかった唯一の音楽家だ

好きだからやる
嫌いだからやらない
生きていくことや何かをすることは
きっとそういうことではない
少なくとも
私にとってのヴァイオリンが
私の中のそういう位置にない

そういうことを
彼は体でわかっているのだと思う

会うだけで
こんなに心が洗われる人間
また音楽だけでなく
人間としても素晴らしい音楽家に
同じ世界で出逢えることはとても少ない
私は彼に音楽を教わっているけれど
音楽だけでなく
こうして人間力も教わっている

そしてもう一人
私はヴァイオリンが好きではないんです、と
話をしたら
「あぁ、だから弾けるのね。」と
言って下さった方がいる
私の気持ちの二歩も三歩も先を
答えて下さる

こんな読む気持ちの美しい方々に
私の音楽家としての人生は
支えられている